歴史と文化が宿る本陣

名峰旅伏山を借景に白壁と黒瓦のコントラストが美しい平田本陣記念館。風情溢れる出雲流庭園と茶室を配した心洗われる静寂の世界とともに、郷土の貴重な美術、伝統工芸品や民俗資料などを展示。久遠の歴史と文化を今に観る郷土の貴重なミュージアムです。

1735年に建設され松江藩の本陣宿として代々の藩主が訪れたという本木佐家。藩主が利用した上の間は建設された当時そのままに移築しています。天袋の襖には土佐派の土佐光芳作の鶉（うずら）が描かれ、歴史を感じさせる柱や欄間などが往時の栄華を偲ばせます。上の間から観る杉苔も美しい中庭と重厚な御成門が本陣の趣を一層引き立てています。

本木佐家から完全移築した日本庭園は、大ぶりの飛石を配し、お留砂という奥出雲でとれる荒い砂を敷き詰めた枯山水の平庭です。正面には陰陽石を据え、老松を添えるなど大らかな趣の中にも詫びた風情を感じさせます。鑑賞ホールから眺める庭園の景観は格別で、米国の日本庭園専門誌の2016年ランキングで国内900か所以上の庭園の中から32位に選出されました。

本館に隣接して美術展示館が設けられており、本木佐家に伝わる品々をはじめ、内外の美術工芸品などを年４～５回特別展示しています。